episode5.キモい、バケモノ
よく、「キモいヤツ」といわれた。
目のせいなのか、わからないけれど。
写真は20年前の、今より30キロはあるわたし。

10代の頃はもっと痩せてたけれど、基本的(苦笑)にこんな貌。
高校二年の頃、仲間みんながたむろする無線科学部室には友人とわたしと、K野くんがいた。
この頃わたしはK野くんと関係があった。友人はそれを知っていた。
K野くんはジンを持ってきていた。
みんなで飲んでいるうちに酔いがまわってきた。
ふいに友人がわたしを見ながら
「なんで、こんなバケモノ(バ、バケモノって、、そこまで言うか)を相手にしてるの!」と吐き捨てるように叫んだ。
K野くんは窓際にもたれながら、「バケモノだから面白いんじゃねえか。」
わたしはいたたまれなかった。
友人が言った言葉も、好きなK野くんの返事も悲しかったし、ショックだった。
K野くんにとって、わたしは道端の石ころなんだ。
いつでも捨てることができる。
もっとショックだったのは別れたJが言った言葉。
恋人からただに友人にも戻れないのは、どういう態度を取っていいか悩む。
部室でみんなで雑談していたとき、
わたしは用があって部屋を出たとき
中からJの声が聞こえてきた。
「ああ、キモいのがいなくなってスッとした。」
血の気がひいた。
つい半年前まで、わたしをひざまくらしてくれながら、前髪を触りながら
友人たちの前でもおかまいなく、「可愛い」「可愛い」と言ってくれていたのと
同じ口で、何故そんなことを言うの?
Hさんとの仲を裂いた腹いせなの?
自分が惨めで、友人にもK野くんにもJにも、聞いていないふりをすることにした。
怒りが通り過ぎると、自分の存在自体が罪なんだって悟った。
わたしがいなければ
みんな、友人、K野くんもJも、ひどいことを言わなかったよね。
わたしがいなければ。
わたしがいなければ。
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